2016年10月17日月曜日

人生の50枚


最近、あるクラシックのレコード雑誌の特集で「人生の50枚~私のリピート・ディスク・リスト」というのをやってました。おもしろかったです。で、自分の中身をさらすことにもなるけど、自分の音楽人生をふりかえるいい機会だと思い、私もやってみました。

条件は、
・ひたすら繰り返し聴いたディスクのみ
・可能な限り聴いてきた順番で
・奈保子さんは多くなりすぎるので5枚に限定

1. ベートーヴェン「運命」&シューベルト「未完成」(カラヤン指揮ベルリン・フィル)
2. ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲ほか(モントゥー指揮ロンドン響)
3. バッハ:ミサ曲 ロ短調(リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管)
4. バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(アーノンクールWCM)
5. ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」(ジュリーニ指揮ロス・フィル)
6. ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」(カラヤン指揮ベルリン・フィル)
7. ヴェルディ:歌劇「椿姫」(カラス、ジュリーニ指揮スカラ座)
8. The Beatles:1962-1966
9. King Crimson:In the Court of the Crimson King
10. Frank Zappa:Waka/Jawaka
11. ドビュッシー:映像第1集、第2集ほか(ミケランジェリ)
12. 新ウィーン楽派作品集(カラヤン指揮ベルリン・フィル)
13. ribbon:ワンダフルで行こう!!
14. CoCo:STRAIGHT
15. 中嶋美智代:中嶋
16. Qlair:Les filles
17. 森高千里:LUCKY 7
18. バッハ:イギリス組曲全曲(グールド)
19. ワーグナー:楽劇「パルジファル」(クナッパーツブッシュ指揮1962年バイロイト)
20. 日本歌曲集(中沢桂)
21. シューベルト:歌曲集(シュヴァルツコップ)
22. 三善晃:児童合唱作品集「オデコのこいつ」(田中信昭指揮)
23. チャクラ:さてこそ
24. 矢野顕子:LOVE IS HERE
25. フリッパーズ・ギター:ヘッド博士の世界塔
26. UNICORN:THE VERY BEST OF UNICORN
27. イタリア古典歌曲集(バルトリ)
28. モーツァルト:ピアノ協奏曲全集(インマゼール、アニマエテルナ)
29. ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ジュリアード弦楽四重奏団)
30. ベルリオーズ:幻想交響曲(ミュンシュ指揮ボストン響)
31. 椎名林檎:無罪モラトリアム
32. 倉木麻衣:Perfect Crime
33. 細野晴臣(選曲監修):民族音楽集「地球の声」
34. D'Angelo:Voodoo
35. Maxwell:Embrya
36. シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集ほか(ウゴルスキ)
37. モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」(アバド指揮ウィーン・フィル)
38. モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」(ガーディナー指揮EBS)
39. 小杉武久:Catch Wave
40. 高橋鮎生&太田裕美:RED MOON
41. アレグリ:ミゼレーレほか(ザ・シックスティーン)
42. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(イブラギモヴァ)
43. 河合奈保子:NINE HALF
44. 河合奈保子:SUMMER DELICACY
45. 河合奈保子:DIARY
46. 河合奈保子:あるばむ
47. 河合奈保子:SKY PARK
48. 町あかり:町あかり全曲集(その1)
49. 松田聖子:PINEAPPLE
50. 大瀧詠一:EACH TIME


2016年10月14日金曜日

「浅い夢」のアレンジ


ちょっとご無沙汰しておりました。

前回「Sky Park」について書いて、それが今読んでも格別上出来だったとは思わないけれど、奈保子さんの曲を聴くって宣言しているブログのくせに、奈保子さんの数ある曲の中で、奈保子さんのコア・ファンにもっとも愛されている曲と言っても過言ではない「Sky Park」の記事がなく、その“不在状態”がブログ開始から2年半経ってもなお続いていて、私自身の中でこの曲について書くことは、いつかやらなければならない仕事として大きなプレッシャーになっていました。それ故、一応書いたことでほっと一安心し、気が抜けておりました。

私は、愛も変わらず(笑)、奈保子さんの曲を聴いています。

今日は本当に「徒然」って感じで、ゆる~く綴りたいのですが。アレンジのことについてちょっと書きたいと思います。

このブログからもリンクを貼らせていただいている「秋想う頃」のWhite Autumnさんが、以前、日本の歌謡曲においてはアレンジがとりわけ重要な役割を担っていて、その仕事の質はとても高い、というようなことを書いていらっしゃいました。

大村雅朗さん編曲の「浅い夢」を聴いていて、このアレンジはすばらしいし、「浅い夢」はもっとも好きな曲のひとつであるばかりか、もっとも私好みのアレンジかもしれないと、しみじみ感じ入りました。

スマイル・フォー・ミー」の船山編曲と大村編曲を聴き比べるまでもなく、絶対的に大村さんの編曲の質は高いし、その才能とセンスは傑出していると、反論の余地を一切残さず伝えてくれるのが「浅い夢」のアレンジではないかと思います。

これは“引き算”のアレンジ。曲調や詞の響きに合わせ、大村さんは必要最低限の音しか使っていません。否、来生たかおさんのオリジナル(ピアノとストリングスのみ、編曲は福井峻さん)に比べれば楽器編成が大きいではないか、という声も聞こえてきそうです。しかし、私にとっては、大村さんのこのアレンジこそ、詩的イメージを十全に喚起し得る必要最低限の音のパレットなのです。

控え目に歌を支えるキーボードとストリングス。風の音のようなハーモニカ。どれも「これしかないっ!」という絶妙な楽器の使い方です。

しかし、私が一番心を惹かれるのはコーラス(に聴こえるシンセサイザーのアレンジ)です。所謂A-A-B-A'のBに相当する部分(♪どこか遠くを見ているようで~)。ようく耳を澄ましてみてください。遥か遠くに女声コーラス(のような音色)が響いています。バッハの「マタイ受難曲」ではイエスのレチタティーヴォ(朗唱)にだけヴァイオリンのオブリガートが施されますが、それと似ていると言えば似ている。ミとファとソの3音のみ。薄く、淡い光が、聖なるまなざしのように世界に降り注ぐ絵画の印象。

どこか遠くを見ているような「あなた」
浅い夢を見ているような「私」

この曲で一番大切とも言えるイマジネーションを綴ったところに女声コーラスが―ほとんど気づかれないくらいの音量で―しかし確かな効果を持って―響いてきます。この感動の質は、それこそ「マタイ受難曲」を聴いた時の感動の質にまったく劣らないものです。